2025 年 14 巻 3 号 p. 131-135
肺ノカルジア症は日和見感染症として知られる稀な感染症である.免疫低下状態の患者で発症することが多く,全身に播種性病変をきたすことで知られる.今回胸水培養からNocardia pseudobrasiliensisが検出され,播種性病変として脳膿瘍の合併を認めた症例を経験した.シプロフロキサシン(ciprofloxacin:CPFX)を中心とした抗菌薬治療を計12ヶ月間行い各病変の消失を確認した.本菌はスルファメトキサゾール・トリメトプリム(sulfamethoxazole-trimethoprim)に耐性を示すことも多く,菌種の正確な同定と抗菌薬感受性試験が重要と考えられる.