日本胸部疾患学会雑誌
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気管支ファイバースコープにて診断し得た Pneumocystis carinii 肺炎の5例
気管支肺胞洗浄法の有用性
岡 三喜男野口 雄司松本 好幸鶴川 陽一河野 謙治荒木 潤峯 豊神田 哲郎斉藤 厚原 耕平塚崎 邦広雨森 龍彦
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1985 年 23 巻 9 号 p. 1052-1058

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抄録

悪性疾患 (肺癌, 悪性の血液疾患) とステロイド治療中のサルコイドーシス患者に併発した, Pneumocystis carinii 肺炎 (PC肺炎) の5例を経験した. いずれの症例も, 低酸素血症と両側びまん性陰影を有していた. 全例に, 酸素投与下でBALを行い, うち2例にTBLBを併用し, いずれの検体からも Pneumocystis carinii を証明した. 合併症として, 2例にBALによると思われる一過性の発熱をみとめたが, 重篤な合併症はみられなかった. PC肺炎の診断手段として, BALは, 簡便かつ安全に, 短時間で, しかもベッドサイドで施行できる有用な検査法と考えられた. さらに, BALFでの細菌, 真菌, ウイルスの検索, 細胞診などを行うことにより, BALの免疫不全患者における呼吸器合併症の診断に価値が高められるものと考えられた.

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