日本胸部疾患学会雑誌
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喘息様症状を呈し, 気管支鏡下高周波メス腫瘍焼灼により症状の改善をみた肺癌の1例
水本 保子塩谷 直久竹澤 祐一東口 隆一竹下 修治澤木 政好堅田 均成田 亘啓三上 理一郎
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1986 年 24 巻 2 号 p. 173-177

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抄録
77歳の男性で, 安静時呼吸困難, 喘鳴があり, 肺の聴診上で全肺野に呼気延長, 及び呼気・吸気ともに wheeze を聴取した. 胸部レントゲンでは, 右上肺野に無気肺様の均等陰影があり, 気管支鏡所見では, 右上葉枝入口部よりポリープ状の腫瘍の突出がみられ, 右主気管支より中間気管支幹にかけて気管支内腔の著明な狭窄が認められた. この腫瘍の気管支鏡下での腫瘍生検組織像は, 非角化型扁平上皮癌であった. 当初, 気管支拡張剤などを投与したが, 症状の改善はみられなかった. 本患者の wheeze が, 腫瘍による気管支狭窄によるものと考え, 気管支鏡下で高周波メスによる腫瘍焼灼術を行なったところ, 聴診上の wheeze は即座に消失した. しかし, 本患者の wheeze は肺音図学的には,単なる気道狭窄にみられる monophonic wheeze ではなく, 気管支喘息患者にみられるものと同様の random monophonic wheeze であった.
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