日本胸部疾患学会雑誌
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びまん性汎細気管支炎における血中寒冷凝集素に関する検討 -その血清学的特性-
滝沢 始田所 憲治三好 裕司堀内 正大田 健庄司 俊輔宮本 昭正宮地 純樹
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1986 年 24 巻 3 号 p. 257-263

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抄録
びまん性汎細気管支炎10例の血中寒冷凝集素について検討した. 10例中9例で128倍以上を示し, 最高1,024倍, 平均414倍であった. 血中マイコプラズマ抗体価は全例基準以下であった. 寒冷凝集素が反応する赤血球抗原の phenotype は主にIFを示した. またin vivo での活性を左右する thermal amplitude は, いずれも15℃以上で凝集素価が著明に低下した. これは10例いづれも溶血性貧血を呈しなかったことと一致していた. また, 寒冷凝集素の溶出を行ない, SDS-ゲル内電気泳動, ウェスタンブロッティングを用い, さらに間接クームス試験を用いて分析した結果, IgM, G, 一部IgAを有し, poly clonal であることを確認した. こうした結果は, びまん性汎細気管支炎での寒冷凝集素は, 悪性リンパ腫などでみられるものとは異なり, むしろ感染後にみられるものと類似の性格をもつことを示唆した.
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© 日本呼吸器学会
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