日本胸部疾患学会雑誌
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マイコプラズマ感染症に続発した急性呼吸不全
若狭 真樹広瀬 隆士松尾 信一久保 千春井上 〓夫長野 準
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1986 年 24 巻 4 号 p. 430-436

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抄録
症例は21歳, 女性. 生来健康であったが, 1984年11月20日より発熱し, 咳嗽や呼吸困難が次第に増強するため近医入院. 治療をうけるも症状増悪し, 11月29日当院入院. 入院時胸部レ線像で両側肺実質性陰影を認め, 大気下でPaO2 27.7torr と, 著明な低値を示した. 人工呼吸開始, PEEP, 諸抗生剤, ガンマグロプリン製剤, ステロイドのパルス療法等によって, 胸部レ線所見および呼吸機能が改善した. 入院時の咽頭ぬぐい液のマイコプラズマ培養が陽性で, 11月24日の血清マイコプラズマPHA抗体価20倍, 入院時2,560倍, 第12病日には10,240倍と有意な上昇を認め, CF抗体も同様な変化を示したため, マイコプラズマ感染による急性呼吸不全と診断した. マイコプラズマ感染症は, 一般に良好な経過をとる疾患であるが, まれには本症のように重症な経過をとるものがあり, 注意が喚起される.
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