日本胸部疾患学会雑誌
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気管支喘息患者生検肺にみられた肥満細胞の超微形態学的脱顆粒現象
松田 健川並 汪一宮下 正夫三井 健司田中 満河合 健
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1987 年 25 巻 1 号 p. 106-111

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抄録

ほぼ通年性の発作を伴う気管支喘息患者6症例 (アトピー型1, 非アトピー型5, 平均年齢53歳) からTBLB組織を採取し光顕及び電顕的に観察した. 各症例からの計81個の肥満細胞は46個の安定型渦巻 (scroll) 構造優位型 (S-type) と, 部分的脱顆粒状態を示唆する35個の粒子 (particulate) 構造優位型 (P-type) に分類できた. 粒子状顆粒は時に融合し, 化学伝達物質の急速な放出現象を示唆する迷路 (labyrinth) 構造 (L-type) を示した. 今回の観察で2症例から採取された肥満細胞はP-typeのものが多く迷路構造や空胞化形成も認められた. 残り4症例では殆どS-type肥満細胞で占められていた. 以上のように採取された肥満細胞顆粒は形態学的に多様性を示し, 典型的なアナフィラキシー性の脱顆粒形態が認められたのは検索症例の1/3に過ぎなかった. 残り2/3症例に於いては肥満細胞が喘息の発作機序に直接関与していない可能性も含め, 今後の興味ある研究課題となろう.

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