日本胸部疾患学会雑誌
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反復する自然気胸と小脳梗塞を合併したウエステルマン肺吸虫症の1例
最近15年間の本邦における報告例の臨床的検討
鈴木 幸男伊藤 光米丸 亮山沢 文裕小林 弘祐金沢 実川城 丈夫横山 哲朗竹内 勤荒木 国興
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1987 年 25 巻 1 号 p. 119-124

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抄録

左右の自然気胸と小脳梗塞を合併したウエステルマン肺吸虫症の1例を報告した. 症例は27歳, 男性. 昭和58年8月左自然気胸, 昭和59年4月小脳梗塞を発症し, 昭和60年1月右自然気胸のため入院した. サワガニ摂食の既往, 胸部X線写真上移動性の孤立結節状陰影, 喀痰・糞便・気管支肺胞洗浄液より虫卵の検出, 好酸球増多, 血清IgE高値, 免疫血清学的検査よりウエステルマン肺吸虫症と診断した. 本邦において昭和45年以降, 肺吸虫症と小脳梗塞の合併例の報告はなく希有な1例と考えた. 併せて昭和45年以降, 本邦で報告されたウエステルマン肺吸虫症47例, 宮崎肺吸虫症96例, 計143例について臨床検討を行った. 両肺吸虫症とも報告例の減少傾向は認めなかった. ウエステルマン肺吸虫症では脳・神経症状を呈することが多く気胸は少なかった. 一方, 宮崎肺吸虫症では胸水貯留や気胸などの胸部症状を呈することが多く, その他の症状は殆ど認めなかった.

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