1988 年 26 巻 4 号 p. 373-377
二三の呼吸器疾患にっいて Broncho alveolar lavage fluid (BALF) の液性成分中の分泌型IgA (sIgA) およびその他の免疫グロブリンを測定した. sIgAは気管支炎症例で高く, 対照者とくらべ有意の差 (p<0.02) を認めた. 次いで肺結核症例, 肺癌症例の順であった. 尚喫煙の有無と関係はなかった. IgAは肺結核症例で高く, ついで気管支炎, 肺癌の順であったが, 対照者と有意の差はなかった. IgGは肺結核で高く対照と有意の差 (p<0.01) があった. IgMは量も少なく一定の傾向は認めなかった. またsIgAとIgAは有意の相関関係をみとめたが, sIgAとIgG, sIgAとIgMとの間には相関関係はなかった. sIgAが少ない症例においては弱毒菌の増加が認められ, sIgAが多い症例においてはこれらの微生物の増加は抑制されていた. BALF中のsIgAや免疫グロブリンの測定は病態の解明に有用であることを認めた.