日本胸部疾患学会雑誌
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汎細葉性肺気腫のCT像
山岸 雅彦小場 弘之本間 昭彦中川 晃横川 和夫黒川 慶三斉藤 司森 裕二渡辺 英明加藤 誠也森 雅樹鈴木 明
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1991 年 29 巻 11 号 p. 1407-1413

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抄録

剖検または手術で得られ汎細葉性肺気腫 (PAE) を認めた5症例の5肺葉 (中葉1, 左下葉1, 右下葉3) の胸部CT像を検討した. 肺葉は Heitzman らの方法で伸展固定後, 水平断でスライスし in vivo のCT像と対比した. 1肺葉を除き, 他の4肺葉のPAEは, 不定型な広がりをもったlowattenuation area (LAA) としてCT像上に描出された. CT像上のLAAの認識は, LAAを含む肺野だけではなく, 対側の肺野の健常部分の濃度との対比からも可能であった. またLAAの内部には比較的健常なまたは分岐の減少した血管系が観察された. LAAの分布に関しては, 1肺葉のLAAは比較的限局性の分布を示し, 2肺葉のLIAAは外層よりも内層に強く分布し, 残りの1肺葉のLAAは広範囲に分布していた. 以上のPAEのCT所見は, これまでの多数の報告にみられる細葉中心性肺気腫 (CEA) の所見とは異なっていた. したがって, CTはPAEの臨床診断およびCAEとの鑑別に有用と考えられた.

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