1991 年 29 巻 12 号 p. 1547-1552
アルミトリンは低酸素性肺血管収縮の増強と末梢化学受容器の刺激を介して肺のガス交換を改善させる可能性が推測されている. この関係を検定するため, 疾患モデルとして犬の急性パラコート障害肺を用いて人工換気下でのアルミトリン (0.3, 1.0μg/kg/min) の循環動態, 動脈血ガス分圧, 肺内換気血流比分布に対する作用を検討した. 肺の組織学的変化として全例に胸膜直下のうっ血と出血, 胞隔の肥厚と線維化が認められた. アルミトリン0.3μg/kg/min経静脈投与ではいずれの指標にも有意な変化を認めなかった. 1μg/kg/min投与時には平均肺動脈圧が17.4±3.3mmHg (mean±SD) から20.4±1.5mmHgへ上昇した (p<0.01) が, 動脈血ガス, 肺内換気血流比分布には有意な改善を認めなかった. 以上の結果から急性パラコート障害肺において, アルミトリンはガス交換改善作用と独立して肺動脈圧上昇を起こし得ることが示唆された.