1991 年 29 巻 6 号 p. 718-723
ミノサイクリン (以下MINO) による薬物性肺臓炎を3例とも誘発試験で証明し得たので報告する. 症例1, 2でアレルギーの既往歴を有していた. 症例1, 3のTBLBで肺胞壁の軽度肥厚と細気管支近傍の少数の好酸球浸潤を認め, 軽度の急性好酸球性肺炎の所見であった. 症例3のBAL, で好酸球増多を認めた. MINO誘発試験で内服後臨床症状出現までに要した時間は, 症例1で約7時間, 症例2で約12時間, 症例3で約9時間であった. 3例に共通した点は, 乾性咳嗽, 発熱, 呼吸困難という臨床症状, 身体所見としての肝腫大, 検査でESR, CRPの強陽性, 低酸素血症, 拘束性呼吸障害, 胸部レ線でのびまん性粒状・網状影, MINO中止にて症状・所見の改善, MINOでのリンパ球刺激試験陰性と誘発試験陽性であった.