peptide leukotriene は, 冠動脈血流量を減少させることが知られている. leukotriene D4 (LTD4), leukotriene C4 (LTC4) を麻酔下雑種成犬8頭の右房および左房から注入した際の冠血流量, 冠血管抵抗の変動の差から, 肺における leukotriene の代謝が冠循環に及ぼす影響について検討した. LTD4投与では左房注入に比し右房注入で冠血流量の減少率, 冠血管抵抗の増加率が有意に大であった. LTC4投与では右房注入, 左房注入間の有意差は認められなかったが右房注入で冠血流量の減少率, 冠血管抵抗の増加率が大である傾向を示した. LTC4注入後の動脈血中LTC4濃度は, 左房注入に比し右房注入で有意に低値を示した. 以上の結果より, LTD4は肺血管床で代謝, 失活し, LTC4はLTD4に変換され活性化されることが示唆され, 循環血液中のLTD4, LTC4の冠循環に対する作用が肺でのLTの代謝により修飾を受けることが解明された.