1992 年 30 巻 10 号 p. 1781-1787
本論文の目的は99mTc-テクネガス (99mTc-ガス) の粒子径について検討することと, 99mTc-ガスの肺内分布について放射性不活性ガス (81mKr, 133Xe) と比較検討することにある. 99mTc-ガスの粒子径は, 電顕で観察した結果, 大部分が5~30nmφにあった. 肺内分布の検討は種々肺疾患28例を対象として行った. 99mTc-ガス吸入検査は座位で行い, 約37MBqの99mTc-ガスをFRCからTLCまで, 数回吸入させた. 99mTc-ガスと81mKr, 133Xeガスとの分布がほぼ等しい症例では肺機能検査 (%VC, FEV1.0%) 値が大部分の例で正常範囲にあった. FEV1.0%の著しく低下した症例では, 中枢気道への過剰沈着がみられたが, 肺野へも分布しており, 換気分布の評価は可能であった.