1992 年 30 巻 12 号 p. 2061-2068
特発性間質性肺線維症の発症要因の一つとして吸入粉塵中の無機元素による肺障害の可能性を疑い, 特発性間質性肺線維症群と対照群との肺門縦隔リンパ節中のK, Ti, Cr, Ni, Cu, Ca, Mn, Fe, Zn, Se, Pb, As, AL, Siの含有量を測定し, 両群間での値の比較検討を行った. さらに, 肺線維症例をX線学的に定型例, 非定型例とに分類し各元素の含有量を比較検討した. その結果, 今回の検索対象で, 主に外来性元素であるNiの含有量が肺線維症群で対照群に比較して有意に高値であった. X線上のいわゆる肺線維症定型例と非定型例との比較では, 各元素含有量に有意の差は認められなかった.