日本胸部疾患学会雑誌
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パルス療法及び免疫抑制剤で著効を示した Idiopathic pulmonary fibrosis の1例
宍戸 道弘市木 拓戸田 和史矢野 守大朏 祐治
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1992 年 30 巻 12 号 p. 2139-2145

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抄録

症例は64歳女性, 咳と呼吸困難で入院した. PaO2 40Torr, 胸部X線写真で両側全肺野に間質性陰影を認めた. 免疫, 血清, 細菌学的に特異的な陽性所見なく, 一方膠原病を示唆する所見もなく, 特発性間質性肺炎と診断した. メチルプレドニゾロン1gr 3日間のパルスに続いてプレドニゾロン40mgとアザチオプリン75mgの併用投与を開始し5週目にはPaO2, 肺機能, 胸部X線写真の著明な改善を認めた. 残存する陰影を開胸肺生検で検討した所, 病理組織学的に Usual interstitial pneumonia (UIP) との所見を得た. 免疫抑制剤を漸減した3ヵ月後再燃を見たが, 再度同じパルス投与後, 前と同量の免疫抑制剤を投与し, 再燃が緩解した. その後はステロイドのみをごく緩徐に減量し, 再燃6ヵ月後の外来時のデータでは%DLCO 72.4%, %VC 108%, PaO2 80Torrに回復している. このアザチオプリンを併用した療法はUIPの急性期, 再燃時に救命的に使用されたが, その有用性が示唆された.

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