日本胸部疾患学会雑誌
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胸部X線上線状網状影と小結節影を呈した好酸球性肺炎の1例
吉富 淳佐藤 篤彦田村 亨治須田 隆文志知 泉中野 豊岩田 政敏早川 啓史千田 金吾中村 真一
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1992 年 30 巻 12 号 p. 2163-2167

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抄録

症例は47歳女性, 主訴は乾性咳嗽, 咽喉頭部不快感. 胸部X線上, 両側肺野にびまん性の線状網状影と散在性の小結節影を認めた. 動脈血ガス分析や呼吸機能はほぼ正常であったが末梢血, BALにて好酸球増多を認めた. 経気管肺支生検の結果は好酸球性肺炎を示唆するものであったが, 小結節影の存在から血管炎を否定できず, 開胸肺生検を施行した. その結果, 画像上小結節影に相当する肺組織変化として, 斑状の好酸球や巣核球の肺胞腔内への滲出像を認めた. 一方, その他の部位では肺胞隔壁の肥厚は軽度であり, 好酸球を主体とした炎症細胞の浸潤が気管支壁, 胸膜, 小葉間隔壁に著明であった. X線上認められた線状網状影と小結節影はこれらの組織所見を反映すると思われた.

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