1992 年 30 巻 7 号 p. 1290-1295
Methylphenidate (リタリン®) 静注乱用者2名に高度の閉塞性換気障害と拡散障害を認めた. 胸部X線所見上1例はブラ, 無気肺を伴う肺気腫所見を示し, 自然気胸も合併した. 他の1例は間質性陰影を主体としていた. 両者とも静注乱用をはじめて約10年で労作時呼吸困難を自覚するようになった. 当時の静注乱用の仲間で現在生存している他の1名も胸部X線所見にて肺気腫を認めている事, 比較的若年で発症している事より, これらの肺障害はリタリン静注乱用によりおこったものと考えられた. 若年性の肺気腫や, 拡散障害を伴う閉塞性換気障害の症例ではこのような薬物静注乱用の可能性も考慮する必要がある.