日本胸部疾患学会雑誌
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アセトアミノフェンによる薬剤誘起性肺炎の1例
北口 聡一宮沢 輝臣峯下 昌道土井 正男高橋 浩一山木戸 道郎
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1992 年 30 巻 7 号 p. 1322-1326

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抄録

アセトアミノフェンによる薬剤誘起性肺炎の1例を経験した. 症例は20歳女性, 歯痛にて市販のノーシン (アセトアミノフェン計1.2g) を内服し発熱, 乾性咳嗽, 呼吸困難が出現し, 胸部X線上両肺野に粒状網状影を認めた. 気管支肺胞洗浄液にて総細胞数は著増しリンパ球, 好中球, 好酸球の増加を認めた. 薬剤誘起性肺炎を疑い抗生剤を始め全ての薬剤投与を控え Methylprednisolone を投与したところ臨床症状, 胸部X線写真, 肺機能検査にて明らかな改善をみた. リンパ球刺激試験にてノーシン及びその成分であるアセトアミノフェンが陽性を示した. アセトアミノフェン中毒はよく知られているが, 同薬剤によるリンパ球刺激試験で証明しえた薬剤誘起性肺炎の報告は本邦第1例目と思われた.

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