抄録
睡眠呼吸障害について, 全国主要施設および4地域の健康診断受診者へのアンケート調査を中心に, 日本人の睡眠呼吸障害の実態調査を行った. 4地域で健康診断受診者を中心に行ったアンケート調査では3,243の回答を得て, 睡眠呼吸障害の risk factors (習慣性いびき, 昼間の過眠など) の有病率を把握した. それをもとに睡眠呼吸障害疑いの対象を抽出し, 確定診断を行った結果, 平均有病率は1.14~1.94%と推定できた. 男性は女性の10倍程度の高率であった. 睡眠呼吸障害の診断基準, 治療開始基準あるいは重症度判定について, 集計された睡眠呼吸障害患者279症例をもとに解析を行い, 無呼吸・低換気指数 (AHI) や酸素飽和度による診断基準暫定案を策定した. また, 全国の2,751症例の集計をもとに, 睡眠呼吸障害の治療の現況を把握し, 長期観察例132例から各治療法の効果について検討することができた.