日本胸部疾患学会雑誌
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癌性胸膜炎に対する Pirarubicin (THP-ADM) の胸腔内投与についての検討
牧元 毅之星野 秀樹土屋 智渡辺 覚中野 秀彦成清 一郎笛木 直人江沢 一浩滝瀬 淳斎藤 龍生
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1993 年 31 巻 12 号 p. 1542-1547

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抄録
今回我々は原発性肺癌に伴う癌性胸膜炎に対し Adriamycin の新しい誘導体である Pirarubicin (THP-ADM) の胸腔内投与を行い, その有用性について検討した. 対象は胸水細胞診にて癌性胸膜炎と診断された原発性肺癌症例20例で全例胸腔内治療歴のないものとした. Performance status (PS, Eastem Cooperative Oncology Group (ECOG)) はPS1が8例, PS2が9例, PS3が3例であった. 臨床病期分類はIIIB期が14例, IV期が6例である. 方法は原則として可能な限リチューブドレナージ法で胸水を排液した後, THP-ADM 30mg/m2を胸腔内へ注入した. 成績は全体の奏効率が50.0%で胸腔穿刺法施行例では14.3%, チューブドレナージ法施行例では69.2%で有意差をもって後者が高かった (p<0.05) が Median Survival Time (MST) には差がみられなかった. 重篤な副作用はみられなかった. 原発性肺癌に伴う癌性胸膜炎に対してチューブドレナージ法を用いたTHP-ADMの胸腔内投与は有用であると思われた.
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