1993 年 31 巻 2 号 p. 257-260
喀血を主訴として来院し, 気管支鏡検査にてポリープ状腫瘤を認め, 気管支動脈塞栓術が奏効した一次性気管支動脈蔓状血腫の1例を経験したので報告する. 症例は74歳男性. 喀血の原因検索のため気管支鏡検査を行い, 右中葉枝にポリープ状腫瘤を認め, 腫瘍性病変を疑い生検したもころ大量の出血を来した. 塞栓術を施行するために気管支動脈造影を行ったところ, 右気管支動脈の拡張, 蛇行, 屈曲と末梢細血管の増生および肺動脈との吻合を認めたため一次性気管支動脈蔓状血管腫と診断. 出血はスポンゼルによる気管支動脈の塞栓術により停止した. 術後3年経過した現在まで再出血を認めず, 気管支動脈蔓状血管腫に於ける気道出血の治療として気管支動脈塞栓術は有益な治療法と考える.