日本胸部疾患学会雑誌
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継代培養でサイトカインが高値を示した肺原発悪性線維性組織球腫の1例
加藤 信秀櫻川 浩山崎 史朗小松 壽石川 文雄岡田 弥生垣内 史堂Shuuichi Sasamoto
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1993 年 31 巻 4 号 p. 523-529

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抄録

肺原発悪性線維性組織球腫 (Pulmonary Malignant Fibrous Histiocytoma, 以下PMFH) の病態について, 患者腫瘍をヌードマウス移植並びに細胞培養の両継代法を用いて本疾患成立へのサイトカイン関与を検討した. 測定試料としてヌードマウスでの継代腫瘍抽出液と腫瘍細胞培養上清を用い, それぞれをELISAもしくはRIA法にてサイトカイン量を求めた. その結果, IL-1α, IL-1β, TNF-α, IL-6, G-CSF, GM-CSFのすべてが高値を示したが, その中でもIL-6とG-CSFに著明な産生能亢進が認められた. 臨床所見は入院時白血球数27,500/mm3, 血小板48.3×104/mm3と高く, 赤沈も1時間値67mmと亢進しており, 先のIL-6やG-CSFの生理学的作用との関連性が示唆された. 本症例以後2例のPMFHを経験したが, いずれも治療前の血清中IL-6とG-CSF値は肺癌患者や正常人に比べ有意な高値を示した. 今までPMFHについてサイトカイン産生を検出したものは認められていない.

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