日本胸部疾患学会雑誌
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エトポシドが原因と考えられた間質性肺炎の1例
荒木 信泰松本 浩平生田 順也安藤 守秀滝 文男鈴木 隆二郎高木 健三
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1993 年 31 巻 7 号 p. 903-907

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抄録
症例は, 63歳, 男性. 平成3年2月, 原発性肺癌 (扁平上皮癌) のため右上葉切除術後に化学療法 (カルボプラチン, イフォマイド, エトポシド) を施行し, その後エトポシド (25mg/日) とPSKを服用していたが, 平成3年8月, 労作時呼吸困難, 微熱, 咳嗽を主訴に入院した. 精査の結果, 著明な低酸素血症を呈する間質性肺炎であり, エトポシドの服用を中止したところ微熱は消失し, PaO2の改善もみられた. 経気管支肺生検では胞隔の浮腫とII型肺胞上皮細胞の著明な増生が認められ, 細胞毒性による反応であることを示唆していた. なお, 低酸素血症が続くためパルス療法を施行した. その後は順調に回復し, 9月退院となった. エトポシドの血中およびBALF中リンパ球幼若化反応 (DLST) は陰性であったが, 臨床経過および組織学的所見よりエトポシドによる間質性肺炎と診断した. エトポシドによる間質性肺炎の報告はまだなく貴重な症例と考えられた.
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