抄録
症例は21歳, 女性で, 15歳頃に多尿, 無月経, 視力低下で発症し, 1990年, 気胸発症を契機に近医に入院し, 胸部びまん性粒状網状影を指摘され, 開胸肺生検により好酸球性肉芽腫症と診断された. 視野狭窄のため頭部CT, MRI撮影をしたところ, トルコ鞍上に腫瘤性病変が確認された. その後当科に転院し, 精査後, prednisolone 投与による治療を行い, トルコ鞍上腫瘤性病変の縮小, 肺, 皮膚, 爪病変の軽快をみたが, 多尿, 無月経の回復はみられなかった. 多尿は desmopressin 点鼻でコントロール可能であった. 肺好酸球性肉芽腫症に尿崩症, 無月経等を合併した症例において, トルコ鞍上腫瘤性病変を認め, 下垂体機能低下や視力傷害の原因と推定された.