日本胸部疾患学会雑誌
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心膜嚢胞の診断と治療におけるCTガイド下の穿刺造影と穿刺吸引の有用性
冬野 玄太郎小林 龍一郎伊賀 六一野守 裕明古寺 研一森永 正二郎
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1994 年 32 巻 10 号 p. 1038-1042

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抄録

心膜嚢胞は無症状で経過し, 検診で偶然に発見されることが多い疾患である. 診断には, 従来より CTscan, MRI, 超音波エコー等の画像診断が有用といわれ, 診断が得られれば積極的な手術適応とはならない. 今回我々は, 検診で発見された, 右心横隔膜角部の縦隔腫瘤を2例経験した. CTナンバーはいずれも水と同じ density を示し, 体位変換で腫瘤の形態が変化することを確認したのち, CTガイド下に試験穿刺を行った. その結果, 濾出液であることを確認. 詳細を得るために腫瘤の穿刺造影を行った. 結果は2例とも薄壁嚢胞を呈しており心膜嚢胞と診断した. 1例は手術を選択したが, もう1例はCTガイド下の穿刺吸引のみで, その後3ヵ月間再発なく経過している. 右心横隔膜角部の嚢胞状の腫瘤には, CTガイド下の穿刺造影と穿刺吸引が, 心膜嚢胞の診断と治療として簡便でかつ有用な方法と思われ, ここに報告する.

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