日本胸部疾患学会雑誌
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ニューモシスチス・カリニ及びサイトメガロウイルス肺炎の診断に対するPCR法の有用性
足立 規子
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1994 年 32 巻 5 号 p. 433-440

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抄録
肺の日和見感染症を疑った免疫不全患者41例から得られた気管支肺胞洗浄 (BAL) 液より, Polymerase chain reaction (PCR) 法を用いてニューモシスチス・カリニ (PC) 及びサイトメガロウイルス (CMV) DNAの検出を試みた. 41例中19例にPC-DNAの増幅を, 3例にCMV-DNAの増幅を認めた. このうち9例は従来の方法では診断できない症例だったが, 未治療の一例を除き, 全例でPC及びCMVに対する治療が奏効した. また, PC虫体を認めた検体については, 全例でPC-DNAの増幅を認めた. 免疫能が正常と考えられる患者16例から得られたBAL液を用いて同様の検討を行ったところ, PC及びCMV-DNAとも増幅を認めなかった. 以上より, PCR法はBAL液中のPC及びCMV-DNAの検出に極めて鋭敏であり, PC及びCMV肺炎の診断に対するBALの有用性を高めるものと思われた.
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