1994 年 32 巻 8 号 p. 819-823
一側肺に広範な浸潤影を呈した原発性肺クリプトコックス症の1例を報告した. 症例は76歳, 男性. 基礎疾患や免疫異常はない. 一般抗菌剤に反応しないため, 経気管支肺生検を行って, 組織学的に肺クリプトコックス症と診断された. 治療に, fluconazole, miconazole の点滴静注及び amphotericin B の吸入を併用し, 臨床所見の改善を認めた. 血清クリプトコックス抗原価は Crypto-test と Serodirect 法 (Eiken-test) の2種類を用いて測定した. 両者は感度に差が見られたが, 相関関係を持って低下した.