日本胸部疾患学会雑誌
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結節性硬化症に合併した過誤腫性肺脈管筋腫症
特異な臨床修飾が加えられた1例
中島 淳小塚 裕柳生 邦良竹下 美香古瀬 彰岡 輝明
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1995 年 33 巻 1 号 p. 80-84

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抄録
過誤腫性肺脈管筋腫症は続発性自然気胸のまれな病因の1つであるが, 結節性硬化症に時に合併することが報告されている. われわれは自然気胸発症から上記2疾患と診断された42歳女性の1例を経験したので報告する.
Thin sliced high resolution CT (HRCT) では特徴的なびまん性の肺嚢胞が認められた. 気胸手術時施行した肺生検の病理所見では, 肺嚢胞および肺嚢胞壁・細気管支周囲の平滑筋増生を認め, 平滑筋はアクチン染色陽性・HMB45染色陽性であった. しかしその程度は軽度であり, 従来言われた肺嚢胞発生の機転である平滑筋増生による気道閉塞は認められなかった. 自然気胸手術後順調に経過し, 3年後も臨床的に増悪を認めなかった. 本症例では気胸発生前に妊娠歴が無く, また両側卵巣摘除がなされていたという既往のために, 病状の進行が妨げられたものと考えられた.
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