1995 年 33 巻 11 号 p. 1168-1173
長期低酸素曝露による肺高血圧症の発症機序への酸化的ストレスの関与についてラットを用い検討した. 3週間の低酸素曝露により, 肺動脈中膜肥厚を伴う肺高血圧及び右室肥大が招来された. これらの変化は, 活性酸素除去物質である N-acetyl-L-cysteine (NAC) 投与により有意に抑制された. 低酸素曝露により肺組織ホスファチジルコリンハイドロパーオキサイド (PCOOH) 値は有意に上昇したが, NAC投与ラット肺ではPCOOH値上昇は有意に低値であった. 低酸素曝露により肺に酸化的ストレスが発生し, この酸化的ストレス発生が低酸素性肺高血圧症の発症機序に関与することが示唆された.