1995 年 33 巻 5 号 p. 548-552
治療経過中に両側肺に気胸を併発した原発性肺クリプトコックス症の1例を報告した. 症例は20歳・女性. 胸部単純X線写真で, 両側中下肺野の広範な浸潤影を認め, 経気管支肺生検によって原発性肺クリプトコックス症と診断した. amphotericin B及び flucytosine による治療を約2年半継続して, 左肺に気胸を併発した. 外科的に胸膜縫縮術および肺生検を施行した. 病理組織所見でマクロファージ内に一部が破壊されずに残存している Cryptococcus 認の菌体を確認した. 原発性肺クリプトコックス症の治療期間についても再考の必要があるものと思われた.