日本胸部疾患学会雑誌
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漢方薬による薬剤誘起性肺臓炎6例の臨床的検討
山脇 功桂 秀樹平良 真奈子角陸 知妹橋本 幾太千代谷 厚近藤 光子玉置 淳永井 厚志金野 公郎
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1996 年 34 巻 12 号 p. 1331-1336

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抄録

最近1年間に漢方薬による薬剤誘起性肺臓炎と診断した6症例を臨床的に検討した. 発症までの薬剤投与期間は14日から110日 (平均38日) であった. 症状は呼吸困難, 発熱, 乾性咳嗽が多く, 聴診上 fine crackles を聴取した. 検査所見では全例でCRPとGOTの異常を認め, LDH上昇は5例, 好酸球増多は1例であった. 胸部単純X線およびCT写真上, 陰影は両側びまん性で線状・網状の間質陰影を主体に種々の程度の浸潤影を伴うものが多く, その分布に一定の傾向はなかった. また, 1例は胸水を伴っていた. 4例に行われた気管支肺胞洗浄液では, リンパ球の増加とCD4/CD8比の低下が多く認められ, 経気管支肺生検では4例中3例に器質化肺炎像と胞隔炎の組織所見が得られた. 薬剤リンパ球刺激試験では6例中4例が陽性であった. 2例は漢方薬の中止により, 4例はステロイド投与により軽快した. 漢方薬服用中は薬剤誘起性肺臓炎の発現に注意が必要と考えられた.

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