日本胸部疾患学会雑誌
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縦隔に病変が及んだ後腹膜線維症の1例
堀越 理紀蝦名 昭男今井 督磯上 勝彦貝森 光大菅 三知雄小野寺 庚午
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キーワード: 縦隔, 後腹膜線維症
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1996 年 34 巻 3 号 p. 331-335

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抄録

症例は60歳男性. 1993年9月に突然に動悸を訴え, 心房細動, 心不全の診断で近医に入院となった. 抗核抗体陽性, 赤沈亢進などがみられたため膠原病を疑われて当院に紹介入院となった. 当初, 胸部X線写真にて心陰影の拡大と心雑音が聴取されたため心疾患と考えられた. ところが, 胸部CTにて左腕頭静脈が上大静脈に合流するレベルから縦隔内の大血管周囲および心臓を取り囲むように病変が存在し, 縦隔腫瘍の疑いが濃厚となった. そこで経皮針生検を施行したところ, 病理組織診断で非特異的な慢性の炎症像が得られた. 腹部CTでは下行大動脈周囲の病変が横隔膜を越え両側腎動脈に沿って腎門部にまでいたり, 尿管の狭小化や左腎の水腎症が認められた. 以上より縦隔に病変が及んだ後腹膜線維症と診断し, ステロイド剤による加療をおこない病変の著明な縮小が見られた.

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