日本胸部疾患学会雑誌
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帯状疱疹に引き続いて水痘・帯状疱疹ウイルスによる肺炎を発症した慢性関節リウマチの1例
中村 守男金澤 實山口 佳寿博秋月 正史佐藤 慎二稲田 進一
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1996 年 34 巻 5 号 p. 610-615

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抄録
症例は56歳女性. 慢性関節リウマチのため金製剤と免疫抑制剤による治療を受けていた. 発症の1ヵ月前から陰部, 肛門部の帯状疱疹に対し投薬を受けたが皮疹は遷延していた. 発熱と呼吸困難が出現したため入院した. 胸部X線像と胸部CT像で両側肺野びまん性に多発結節性陰影を認めた. 特異的な治療を要せず, 皮疹および臨床症状が軽快するとともに胸部陰影も消退した. 臨床経過, 画像所見, 血清抗体価より水痘・帯状疱疹ウイルスによる肺炎と診断した. 同ウイルスによる肺炎のうち成人例とくに基礎疾患を有する症例では重篤化する危険が高く, 早期診断と的確な対処が必要と考えられる. 成人例とくに帯状疱疹に合併した本疾患は稀である. しかし, その画像所見は特徴的であり, 胸部に多発結節性陰影をみた際に鑑別診断に加えるべきと考え報告した.
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