日本胸部疾患学会雑誌
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小細胞肺癌治療後2年以上生存例における第2癌発生の検討
吉田 勉松井 薫高田 実楠 洋子益田 典幸梁 尚志牛島 淳澤 祥幸田村 研治福岡 正博
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1996 年 34 巻 7 号 p. 741-746

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抄録

非観血治療を行った小細胞肺癌498症例のうち2年以上生存者61例の中で発生した, 第2癌の頻度と種類, および危険度について検討した. 第2癌は7例に認められ (相対危険度3.2倍), 肺癌4例 (相対危険度10.3倍) 胃癌2例 (相対危険度3.5倍) 前立腺癌1例であり海外の文献に比べ胃癌の割合が多かった. また喫煙歴, 胸部放射線治療の有無, 癌の家族歴の有無, 治療後の喫煙の有無で第2癌発生の相対危険度を検討すると, 小細胞肺癌治療後の継続喫煙歴と家族歴に第2癌発生の要因となる可能性が示唆された. 治療後の喫煙継続例における喫煙関連癌 (Smoking-related cancer) の発生は喫煙継続のない集団に比べ相対危険度で約3倍に増加していた. また第2癌は経時的に増加が認められることから, 小細胞肺癌の長期生存例が多くなれば肺および肺以外の部位についても第2癌の発生に注意を払って経過観察する必要があると考えた.

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