抄録
ペプチドロイコトリエン受容体拮抗薬が著効を示したと考えられる慢性持続性咳嗽を経験したので報告する. 症例は47歳の女性で, 5週間以上継続する乾性咳嗽を主訴として受診した. 気管支拡張薬 (テオフィリン薬, β2受容体刺激薬), 塩基性抗アレルギー薬, トロンボキサン合成酵素阻害薬, 吸入ステロイド薬, マクロライド系抗菌薬, および中枢性鎮咳薬を投与したが咳嗽は改善せず, ペプチドロイコトリエン受容体拮抗薬 (プランルカスト水和物) の投与にて咳嗽は改善した. さらに, カプサイシンに対する咳の感受性も同薬物の投与にて改善した. 本症例は, アトピー性素因, 喀痰中好酸球増加, および軽度の気道過敏性亢進を示し, いわゆる“cough-variant asthma”の範疇に含まれる病態を示したが, この病態に伴う咳嗽にロイコトリエン拮抗薬が有効な症例が存在することは, 臨床的に重要な知見と考えられ報告した.