日本胸部疾患学会雑誌
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シリコン豊胸術後30年を経て発症した間質性肺炎合併ヒト・アジュバント病の1例
宮田 靖志岡野 良倉富 雄四郎
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1997 年 35 巻 10 号 p. 1093-1098

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抄録

症例は51歳女性. 約30年前にシリコンによる豊胸術を受けた. 以後, 両乳腺外側および腋窩リンパ節腫張を自覚していたが, 2年前よりリンパ節腫大が増大し, さらに, 数ヵ月前より手指腫張, 朝のこわばり, Raynaud 徴候, 労作時呼吸困難が出現した. 四肢近位筋の対称性筋力低下, 口唇生検, 筋生検, 唾液腺造影所見, 筋原性筋電図変化, 筋逸脱酵素の上昇などより多発筋炎とシェーグレン症候群の overlap 症候群と診断された. 胸部X線・CTにて胸膜下優位の二次小葉間質陰影の肥厚, 肺野濃度の上昇, 下葉容積の減少が, また, TBLBにて炎症細胞浸潤を伴う胞隔肥厚と線維化が認められ, 間質性肺炎の合併と考えられた. 本例は, シリコンリンパ節炎の増強と膠原病症状および間質性肺炎の発症に強い臨床的関連が推測され, ヒトアジュバント病が強く疑われた. 本症に伴う間質性肺炎の報告は少なく, 文献的考察を加え報告した.

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