抄録
症例は70歳の男性. 平成5年11月検診異常のため当院受診. 経気管支肺生検 (TBLB) で右S4a原発の小細胞癌と診断, T1N2M0, Stage IIIa であり, 両側下肺野に間質性肺炎の合併を認めた. カルボプラチンとエトポシドの治療を2コース施行した後右中葉切除と縦隔リンパ節郭清を施行, 上記治療を1コース施行後外来にてエトポシドの内服を行った. CEAの上昇と縦隔リンパ節腫大のため同プロトコールを2コース施行し, 再び外来にてエトポシドの内服を続けていたが平成6年11月より労作時呼吸困難と発熱があり, 胸部X線写真上両側の間質性陰影の増強を認め入院となった. エトポシドに対するDLSTは陰性であったが, 膠原病や感染症を示唆する所見もなく, 気管支肺胞洗浄液でのリンパ球の増加とTBLBでの細胞障害性を示唆する所見, ステロイドに対する反応等よりエトポシドによる薬剤性肺炎と診断した. 本剤による薬剤性肺炎は稀ではあるが, 鑑別すべき原因薬剤の一つと考え報告した.