日本臨床外科学会雑誌
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症例
甲状腺乳頭癌の肝・骨転移にI-131内用療法が奏効した1例
中野 基一郎丹黒 章
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68 巻 (2007) 8 号 p. 1908-1913

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抄録

今回われわれは甲状腺乳頭癌の肝・骨転移をきたした症例に対してI-131内用療法が奏効した1例を経験した。症例は34歳, 女性. 10歳頃より頸部腫瘤を自覚し20歳代より徐々に増大傾向を示した. 甲状腺右葉に約9cm大の石灰化を伴わない嚢胞内乳頭状~カリフラワー状の腫瘍と左葉下部に境界不明瞭な多房性病変を認めた. 共に細胞診class IIであったが血清サイログロブリン値が3,670ng/ml (≤32.7ng/ml) と著明に上昇していた. 頸胸部CT検査ではその他明らかな腫瘍性病変は認めず, 術前診断は腺腫様甲状腺腫疑いとし2002年3月手術を行った. 甲状腺亜全摘後術中迅速診断を行ったが悪性所見を認めず, 術後病理診断にて甲状腺癌 (濾胞型乳頭癌) の診断を得た. 術後血清サイログロブリン値が正常化し追加治療を行わず経過観察してしたが, 術後1年4カ月で血清サイログロブリン値が134ng/mlと再上昇傾向を示し2005年7月には4,370ng/mlまで上昇した. 転移・再発精査を続けていたところ肝転移を認め, 残存甲状腺全摘後I-131シンチグラフィを実施し多発性骨転移も認めた. これらに対してI-131内用療法を2回施行し, 血清サイログロブリン値の低下と肝転移巣の著明な縮小と骨転移巣の硬化性変化およびPET-CTでの集積の低下という良好な結果を得た.

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© 2007 日本臨床外科学会
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