日本臨床外科学会雑誌
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症例
メシル酸イマチニブ奏効後, 腹腔鏡下に切除した胃全摘術後脾門部局所再発GISTの1例
肥田 圭介佐々木 章藤原 久貴高橋 正統千葉 丈弘若林 剛
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2007 年 68 巻 9 号 p. 2229-2232

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抄録

メシル酸イマチニブ投与が奏効し腹腔鏡下に切除した胃GIST脾門部局所再発の1例を経験したので報告する. 症例は56歳, 女性. 胃GISTに対し, 胃全摘, 肝外側区域, 横隔膜部分切除術を施行された. 術後10カ月の腹部CTで脾門部局所再発を指摘されイマチニブ投与を開始した. 投与2カ月後のCTで効果を認め, 投与6カ月後に切除目的で当科紹介となった. 腫瘍は脾門部に限局しており腹腔鏡下脾臓摘出術を行い, 病理組織学的診断では腫瘍の残存を認めなかった. 術後経過順調であったが術後5日の腹部CTで脾静脈, 門脈血栓症を認め抗凝固療法を要した. 再発GISTに対するイマチニブ投与は高い奏効率を認めるが著効例は少なく, 二次耐性の問題もあり, 奏効後の外科的治療の介入が必要である. GIST再発例に対する腹腔鏡下手術は腫瘍の局在と腫瘍被膜を損傷しない慎重な手術操作により安全に施行可能と考えられた.

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© 2007 日本臨床外科学会
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