日本臨床外科学会雑誌
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症例
局所切除が可能であった総腸間膜症併存十二指腸GISTの1例
渡邉 純茂垣 雅俊長堀 薫嶋田 紘
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キーワード: 十二指腸, 総腸間膜症
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2007 年 68 巻 9 号 p. 2242-2247

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抄録

症例は60歳, 女性. 主訴は貧血. 近医で上部消化管内視鏡検査施行, 十二指腸に粘膜下腫瘍を指摘され当院紹介受診. CTで右側腹部に径6cm大の石灰化を伴う腫瘤を認め, 血管造影検査では, 前・後上膵十二指腸動脈を栄養血管とするhypervascular tumorであった. また, 注腸検査, CTでは総腸間膜症を認めた. 十二指腸GISTの診断で十二指腸局所切除, 縫合閉鎖術を施行. 病理組織学的には紡錘形細胞が不規則に交叉しながら増殖, 細胞異型は目立たず, mitosisはほとんど認められなかった. 免疫染色では, c-kit (+), CD34一部に (+), α-SMA (+) であり, GISTと診断した. 十二指腸GISTは比較的稀な疾患であり, 解剖学的位置関係から術式の選択に苦慮すること多いが, 今回, 総腸間膜症を伴い局所切除可能であった十二指腸GISTの1例を経験したので報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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