日本臨床外科学会雑誌
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症例
下血のみを初発症状とした虫垂出血の1手術例
篠嵜 秀博高橋 修森田 泰弘高野 重紹長島 洋二
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2007 年 68 巻 9 号 p. 2266-2269

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抄録

症例は34歳, 男性. 大量の下血を主訴に受診. 腹部所見等では明らかな所見は認めなかったが大腸内視鏡検査により虫垂孔からの出血を認めたため緊急手術を施行した. 術中肉眼所見では炎症性変化や腫瘍性病変を認めず虫垂切除術を施行した. 病理組織学的所見では腫瘍性変化やCrohn病, 血管異形成等の所見を認めなかったが, 潰瘍形成と, その粘膜下に破綻した動脈を認め, 虫垂に発生したDieulafoy潰瘍による出血である可能性も示唆された. 下部消化管出血は日常臨床で比較的高頻度に遭遇するが, 出血部位が虫垂であることは非常に稀であるうえに, 出血の原因自体も興味深い症例であったため文献的考察を加えて報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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