2007 年 68 巻 9 号 p. 2275-2278
腸重積をきたした虫垂粘液嚢胞腺癌に対し腹腔鏡補助下手術にて摘除しえた1例を経験したので報告する. 症例は43歳, 女性. 突然の下腹部痛, 嘔吐にて当院内科へ入院となる. 腹部CT検査にて虫垂根部に約4cm大の嚢胞性腫瘤が存在し, 横行結腸内へ嵌入していた. 腸重積をきたした虫垂嚢胞性腫瘍の診断にて腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した. 腫大した虫垂内腔は粘液で満たされ, 虫垂粘液嚢胞腺癌と診断した. 本症に対する腹腔鏡下手術の際は, 腫瘍細胞が腹腔内へ散布されると腹膜偽粘液腫を発症するため臓器の愛護的操作に努めなければならない.