抄録
大網裂孔ヘルニアは内ヘルニアの1つで,稀な疾患であり,特徴的な臨床所見に乏しく術前診断は困難とされてきた.2003年から2006年に当科では5例の大網裂孔ヘルニアを経験したが,詳細な画像の検討により全例術前診断が可能であったので報告する.症例は男性3例,女性2例で,平均年齢は79.2歳であった.腹部CTと超音波検査での画像上の特徴として,上行結腸,横行結腸の腹側,外側に位置する拡張した小腸,網嚢腔に嵌入した拡張腸管,腹部CTにおけるヘルニア門に向かう腸間膜の収束像,超音波検査における小腸ループ基部近傍に一塊となった脂肪織が有用な所見であった.開腹歴のないイレウスの診断に際しては,大網裂孔ヘルニアも念頭に置き,腹部CTや超音波検査を行うことが重要と思われた.