抄録
症例は54歳,男性.便秘を主訴に受診.精査にてS状結腸に全周性腫瘍と多発性肝腫瘍を確認し,腸閉塞予防の目的で原発巣のみ切除した.摘出標本の病理所見としてはN/C比が大きく核クロマチンの増加した小型細胞の充実性増殖を認め,免疫染色にてChromogranin AとCD56が陽性であることから小細胞癌と診断した.術後肝腫瘍の急激な増大を認め,肺小細胞癌の化学療法に準じてCDDP+CPT-11の投与を施行し一旦は明らかな治療効果を確認しえた.しかし7カ月後に骨盤内腫瘍の出現を認め,CDDP+etoposideへの変更と局所に対する放射線療法を追加し腫瘍は縮小した.その後肝腫瘍の再燃に対し塩酸Amurubicinの使用を経て現在は再度CDDP+CPT-11にて経過観察中である.小細胞癌は予後不良の悪性腫瘍として知られているが消化管原発例は極めて稀で治療内容が未だ確定していない中,quality of lifeを維持しつつ集学的治療を駆使して長期生存を目指している.