日本臨床外科学会雑誌
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症例
エホバの証人に対し腹腔鏡補助下にて切除した胃・大腸重複癌の1例
野中 隆柴田 良仁黨 和夫内藤 愼二岡 忠之
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2008 年 69 巻 4 号 p. 969-973

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抄録

患者は66歳,女性.エホバの証人の信者であった.便潜血反応陽性にて当院受診.注腸造影検査,大腸内視鏡検査で上行結腸肝彎曲部に管腔の2/3周を占める2型の腫瘍を認め,病理診断は低分化腺癌であった.上部消化管内視鏡検査で,胃前庭部に0-IIa型の早期胃癌を認め病理診断にて低分化腺癌の診断を得た.早期胃癌,進行結腸癌の同時性重複癌と診断し,十分なインフォームドコンセントのもと腹腔鏡補助下に幽門側胃切除術(D1+β),腹腔鏡補助下に結腸右半切除術(D3)を1期的に施行した.周術期は血液製剤を使用することなく,術後経過は良好で第21病日に退院となった.無輸血手術を希望した患者に対して腹腔鏡補助下手術は総出血量を抑えることができ有用であると考えられたが,不慮の出血時には開腹手術への移行を躊躇しない姿勢が重要である.

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© 2008 日本臨床外科学会
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