2008 年 69 巻 5 号 p. 1269-1273
症例は79歳,男性.手術既往はない.嘔吐,腹部膨満を認め近医を受診しイレウスの診断でイレウス管を挿入され当科紹介入院となった.入院後のイレウス管造影で右下腹部に位置するイレウス管の先端より先で造影剤の途絶を認め,CTでも右下腹部に閉塞の原因があると考えられた.確定診断には至らなかったが内ヘルニアによるイレウスを疑い入院5日目に原因検索と治療目的に腹腔鏡下手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ盲腸後窩ヘルニアであることが確認され,嵌入小腸の整復とヘルニア門の解放を行った.本症を含め術前診断が困難な内ヘルニアに対しては,診断,治療が同時に行える腹腔鏡下手術が有用であると考えられた.