噴門側胃切除術後の最大の問題点として逆流性食道炎の発症が挙げられる.当科では2002年より安全かつ簡便な方法として細径胃管再建法を採用している.今回その有用性を評価するためにFスケール問診票を用いて術後逆流性食道炎による自覚症状を検討するとともに,内視鏡検査にて客観的に逆流性食道炎の発生状況を把握した.2002年12月から2007年11月までに当科で施行した噴門側胃切除術22例と,同時期に当科で施行した早期胃癌に対する胃全摘術20例を比較検討した.いずれの群もFスケール問診票によれば70%以上に逆流性食道炎様症状を認め,術後内視鏡検査を施行した噴門側胃切除術16例中11例(68.7%)に逆流性食道炎の所見を認めた.しかし臨床的に問題となるロサンゼルス分類Grade CあるいはGrade Dの所見を認めたものは18.8%であった.今後は術後逆流性食道炎の新たな評価検討方法の開発も含め細径胃管再建法のさらなる工夫が必要であると思われた.