日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
根治的恥骨後前立腺摘除術(RRP)後に発症した鼠径ヘルニアの検討
小川 宰司古畑 智久沖田 憲司西舘 敏彦河野 剛平田 公一
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2009 年 70 巻 12 号 p. 3503-3506

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抄録

根治的恥骨後前立腺摘除術(以下RRPと略)は,鼠径ヘルニア発症の一因と考えられている.当科にて経験したRRP術後に発症した鼠径ヘルニアの特徴について検討した.対象は2005年12月~2008年12月までに当科にて施行した男性初回鼠径ヘルニア手術症例77例とし,RRPの既往の有無により既往群14例と対象群63例に分け,部位,成因,根治術式について検討した.患側,分類では有意な差を認めなかったが,修復術式では既往群で有意にmesh-plug法が多かった(85.7%対31.7%).RRPにおける操作は,内鼠径輪のシャッター機構を障害し,間接鼠径ヘルニア発症のリスクを増大することが報告されている.前立腺癌に対しRRPを施行する際は術前に術後鼠径ヘルニア発症の可能性を説明する必要があり,また症例によって予防的内鼠径輪修復を考慮すべきと考えられた.

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© 2009 日本臨床外科学会
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