日本臨床外科学会雑誌
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症例
脾破裂を契機に発見された悪性孤立性線維性腫瘍の1例
佐々木 貴浩小林 慎二郎小泉 哲渡辺 泰治中野 浩大坪 毅人
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2009 年 70 巻 3 号 p. 859-864

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抄録
症例は29歳,男性.腹痛を主訴に来院.腹部CTにて腹腔内に多量の液体貯留を認め,脾臓の濃度は不均一に増加し,内部に血腫と思われる高吸収域を認めた.脾臓内部は一部造影効果を認める正常構造も見られたが下極側で辺縁が破綻して下方へ連続しており,脾臓破裂を強く疑った.また肝臓には多発する腫瘤影が見られ,転移性肝腫瘍と考えられた.外傷の既往がないため,腫瘍による破裂を強く疑い,脾臓摘出術施行した.肝臓表面には大小の結節を触知し,腹膜にも多数の結節を認めた.術中所見では脾腫瘍の破裂,肝転移,腹膜播種と診断した.病理所見ではCD34陽性,Alpha smooth muscle actin陽性,bcl-2陽性で,Factor VII陰性,CD31陰性,トロンボモジュリン陰性,S-100陰性で悪性孤立性線維性腫瘍(Malignant solitary fibrous tumor;以下MSFT)と診断した.今回われわれは脾破裂を契機に発見されたMSFTの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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© 2009 日本臨床外科学会
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