日本臨床外科学会雑誌
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原著
大腸癌治療ガイドラインが術後補助化学療法に与えた影響
川崎 健太郎梅木 雅彦園山 宜延池田 房夫中村 毅冨田 尚裕多淵 芳樹
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2009 年 70 巻 6 号 p. 1592-1598

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抄録

背景:2005年に発行された大腸癌治療ガイドラインは本邦の大腸癌治療に影響を与えたと思われる.目的:ガイドラインが術後補助化学療法にあたえた影響を調べること.方法:兵庫大腸癌治療研究会の参加施設に2004年と2008年術後補助化学療法に関するアンケートを行い比較検討した.結果:1)共通レジメンありの施設が54.9%から74%に増えた.2)高齢者への投与が増えた.3)StageIに施行している施設が37.2%から6%に減少した.4)StageIIに施行している施設が80.4%から71%に減少した.5)投与経路はstageIIでは経口が70%から88%に,stageIIIでは31%から84%に増加した.6)UFT/LV,UFT,S1,Capecitabineなどの経口抗癌剤が増加した.7)平均投与期間が2.58年から0.71年に減少していた.まとめ:ガイドライン発行後はエビデンスに基づいた統一された治療を行う施設が増えた.ガイドラインは適正で標準的な術後補助化学療法の均てん化を行うのに有用であると考えられた.

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© 2009 日本臨床外科学会
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